【スタートダッシュが短距離走の優劣を決める!】
公式大会では
- 100メートル
- 200メートル
- 400メートル
の3種目が主ですね。
これだけ短い距離しか走れない競技ですから、ほんの僅かな差が勝敗を分けるのも必然です。
フルマラソンならスタート方法まで深く考えずとも良いでしょうが、短距離走においてはスタート時のわずかな姿勢の違いすらも勝敗をわける要素になります。
無駄のないスタートダッシュを修得しておくことが、短距離走では非常に大きなアドバンテージになりうるのです。
とはいえ、人間は走り始めと同時にトップスピードに達せられるわけではありません。
最初の数歩は全体からみると低速で、そこから徐々にトップスピードに近づいていき、距離によっては後半で少しだけ失速してゴールするというのが普通です。
これは技術がどうというよりも人体の構造上しかたのないことなので、「トップスピードをずっと維持する」というような考え方は現実的ではありません。
たとえ短距離であっても、人間は常に最速で走り続けるということができません。
だからこそ、スタートダッシュによって「トップスピードの出せない間」の無駄を省くことが重要になるわけです。
トップスピードを出し続けようとするのではなく、無駄なく素早くトップスピードに達することができるようなスタートダッシュを身に付けることが大切です。
スタートダッシュの技術を疎かにしていては、いくらトップスピードが速い選手であっても良い記録を出すことはできないでしょう。
【短距離走ではスタート時の姿勢の切り替えが大事】
短距離走と長距離走で比べてみると、スタート時の姿勢にも大きな違いがあることがわかります。
一般的に長距離走のスタート時には直立に近い姿勢をとりますが、短距離走のスタート時には前傾姿勢がとられることが推奨されるからです。
短距離走では「クラウチングスタート」が一般的になっていることからも、前傾姿勢がどれだけ重要視されているかがわかります。
クラウチングスタートは、より効率的なスタートダッシュを求めた結果生まれたスタート方法で、最初から前傾姿勢で待機しておくことで無駄なく推進力が得られるというメリットがあります。
またスタンディングスタートに比べて地面から得られる反発力が大きいことも、クラウチングスタートの良いところだといえます。
さて、スタートダッシュが苦手な選手は、前傾姿勢と通常の姿勢の切り替えが下手だったりします。
例えばクラウチングスタートの場合は最初から前傾姿勢で待機できるわけですが、当然そのままの姿勢で最後まで走れるわけではありません。
前傾姿勢を維持するのは途中までなのですが、ゴール付近に来ても通常の姿勢に戻せていない選手というのがときどきいるわけです。
最初の前傾姿勢はあくまでも地面からの反発力を得るためのものであって、それをいつまでも維持するメリットはありません。
一流のアスリートの走りを見ていても、体を前に傾けたままで走っている選手なんていませんよね?
公式の大会ではあまり目にしませんが、スタンディングスタートでも同様です。
スタンディングスタートで走る場合、スタート時からずっと直立の姿勢を維持している選手や、一旦前傾姿勢に切り替えるためにもたついている選手がいるわけです。
姿勢の切り替えに無駄な時間を割いていては、コンマ数秒が勝敗をわける短距離走の世界で勝ち抜けるはずもありません。
クラウチングスタート・スタンディングスタートのいずれにしても、前傾姿勢と通常の姿勢の切り替えは重要なテクニックになってきます。
言うのは簡単ですが、前傾姿勢から通常姿勢への以降は膨大な回数の反復を重ねなければ修得できません。
日頃からスムーズな姿勢以降ができるよう練習しておきましょう。
【短距離走のスタートを練習する方法3選】
練習方法@坂道ダッシュ
クラウチングスタートの経験がまったく無いという方は、まず坂道ダッシュから練習してみるとよいでしょう。
坂道ダッシュとは、その何の通り上り坂をひたすらダッシュで上るというシンプルな練習方法です。
どうしてクラウチングスタートの練習に坂道ダッシュが役立つのかといえば、それは
- 坂道を走って上ると自然に前傾姿勢の感覚が身につく
からです。
上り坂を走るためには平地よりも体を傾け、平地よりも強い力で地面を押さなければなりません。
その動きは、平地でクラウチングスタートを行うときとよく似ているのです。
また、平地でのトレーニングに比べて
- 短距離走に必要な筋肉がつきやすいというのも坂道ダッシュのメリット
です。
クラウチングスタートの感覚をつかみつつ、筋トレの効果も得られる一石二鳥の練習方法だといえるでしょう。
練習方法A壁トレ
壁トレは、どこでもいいので壁に手をついて行うトレーニング方法です。
特別な器具やテクニックを必要としないので、いつでもどこでも行える手軽な練習方法です。
壁トレの方法はいたってシンプル。
体が少し傾くくらいの角度で壁に手をつき、片足ずつ足を上げ下げするだけです。
ようするに、体を斜めに傾けた状態で行う腿上げのような感じですね。
最初はキツくない程度の角度で行って構いませんが、慣れてきたら体と壁の角度を45度くらいに設定すると効果的です。
このトレーニングによって得られるのは、
- 前傾姿勢の状態から足をスムーズに曲げ伸ばしするテクニック
です。
通常の腿上げよりもスタートダッシュに近い姿勢で行うことにより、筋力を鍛えながら足の使い方を学ぶこともできるのでオススメです。
練習方法B縄跳び
大変シンプルな練習方法ですが、縄跳びは短距離走の実力を伸ばすのに役立ちます。
もちろん、小学生がやるようにぴょんぴょん跳んでいるだけだと効果はありません。
イメージとしては、ボクサーがやるような回転数の速い跳び方を意識してみるとよいでしょう。
両足を揃えて跳ぶのではなく、片足ずつ交互に速いピッチで跳んでいく感じですね。
- 縄跳びの動きは、短距離走に必要な筋力を増強する
ことにも寄与します。
足をベタ付けするのではなく、つま先を使って軽やかに跳び続けることで瞬発力のトレーニングにもなるでしょう。
短距離走スタートの極意の動画
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