【短距離走には4つの構成要素がある】
構成要素は
- 「スタートダッシュ」
- 「加速」
- 「中間疾走」
- 「失速」
の順に発生します。
今回は、それぞれの意味と役割について簡単に解説していきましょう。
スタートダッシュ
まず「スタートダッシュ」について。
とはいってもスタートダッシュについては説明しなくてもほとんどの方が理解しているのではないでしょうか?
号砲が鳴ってから最初の数歩でいかに差をつけるか…ということが重要になる段階ですね。
ここで失敗すると、後から差を取り返すのは至難の業です。
加速
次に「加速」の段階。
これは、スタートダッシュからトップスピードに至るまでの加速プロセスのことです。
走り出した瞬間にトップスピードに達することのできる人間はいませんから、どれだけ優れた選手でも加速の段階を踏んでトップスピードに至ります。
一般的に加速時間はできるだけ短いほうが有利で、コンマ数秒でも早くトップスピードに達することでエネルギーのロスを抑えることができます。
中間疾走
そして「中間疾走」。
これは、トップスピードで走ることのできるプロセスのことです。
純粋にトップスピードが速い選手ほど差をつけやすく、できるだけ長く中間疾走の時間を稼げれば短距離走では有利になります。
加速に時間を取られすぎると、100メートル走などでは中間疾走の時間が短くなってしまいかねないので注意が必要ですね。
スタートダッシュや加速は、無駄なく中間疾走を行うための伏線のようなものだといっても過言ではありません。
失速
最後に「失速」です。
どんなに優れた短距離走選手でも、全く失速せずに何百メートルも走ることはできません。
100メートル走の場合でいうと、平均して残り20メートルというところでどの選手にも失速が起こります。
ライバルが失速するのだから追い抜くチャンスだ!と思うかもしれませんが、レース後半で失速するのはあなた自身も同じなのでなかなか上手くはいきません。
終盤で加速することのできる選手はいませんが、「失速を極力抑える」ようにトレーニングすることはできます。
【中間疾走のテクニックを伸ばすためには?】
短距離走を構成する4つの要素のうち、最も「伸ばし方」に苦労するのが中間疾走かもしれません。
スタートダッシュや加速にはわかりやすいテクニックがあるのですが、中間疾走には具体的な練習方法が少ないからです。
というのも、中間疾走というのは要するに「一番安定して走る区間」のことです。
すでに安定しているのに、これ以上なにをすべきかがわからない…と選手を悩ませてしまっているわけですね。
極論、トップスピードを速くすれば中間疾走の走りも良くなるはずなのですが、「トップスピードを速くする」なんてことができれば誰も苦労はしません。
短距離走はトップスピードをコンマ数秒縮めるために、何年も努力を重ねなければならないような世界ですから。
では、中間疾走をよりよく走るためにはどうすればよいのでしょうか。
そのために大切なのは、
- 中間疾走そのものよりもスタートダッシュや加速の改善を意識する
ことです。
先ほども少し説明しましたが、スタートダッシュや加速は、中間疾走のための「伏線」のようなものです。
- スタートダッシュは一早く中間疾走に至るため
- 加速はスムーズに中間疾走にシフトするため
のプロセスだといえます。
そのため、
- スタートダッシュと加速を磨くことが、必然的に「中間疾走をよくする」ということにつながる
わけです。
無理にトップスピードを速くしようとしても記録は伸びません。
まずはスタートダッシュや加速といったわかりやすい部分を磨き、その先にある中間疾走の改善を目指してみてはいかがでしょうか。
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