【三段跳びってマイナー種目?その理由の一つ】
しかし、三段跳びの競技者からするとお馴染みですが、一般の人からするとあまり馴染みがないかもしれません。
学校の体育の授業で、走り幅跳びを取り入れている学校もありますが、三段跳びを教えている学校は稀でしょう。
そうなると、走り幅跳びがメジャー競技という印象になるのもやむを得ない感じもします。
また、走り幅跳びをやっている小学生、中学生は多く、中学生でも三段跳びをやっている人もいますが少数です。
高校生になって、やっと三段跳びをメイン競技に据えてやっている人が増えてくる、と言った感じです。
しかし、高校生になって三段跳びの競技人口が爆発的に増えるか?と言われてみると、決してそんなことはありません。
大会を見渡すと走り幅跳びへのエントリー数は40人、三段跳びは10人なども珍しくありません。
そのため、
強豪校がいない地域、支部では競争率が低く、走り幅跳びに比べて都道府県大会出場を狙いやすい種目
でもあります。
では、なぜ三段跳びの競技人口は少ないのか。
動作が複雑で難しい
幼少期からの魅力というものもあるかもしれませんが、その一つの理由に動作の一つ一つが難しいということが挙げられるでしょう。
三段跳びは助走から踏切に入り、川でやる水切のように、ホップ、ステップ、ジャンプの3回の跳躍を、いかに助走スピードを減速させずに跳べるかがカギとなってきます。
右足踏切の場合、三段跳びの足の接地は右(踏切足)、右(ホップの接地)、左(ステップの接地)です。
助走-踏切からのホップまではケンケンになるのです。
陸上競技でケンケンする競技は、恐らく三段跳びだけでしょう。
ケンケンというと簡単に聞こえますが、
9割近いスピードで走ってきた助走スピードを、減速させずにするケンケンと言われると非常に難しい
でしょう。
何も分からない初心者が行えば、下手をすると怪我をします。
そして大抵高校男子三段跳びの地区予選の踏切板の位置は11mです。
つまり、3歩で11m以上跳ばなければ地面に着地することになるのです。
それには、ケンケンという安易なイメージではなく、しっかりと三段跳びの基礎の動作を習得する必要があるでしょう。
しかし、三段跳びは
- 動作としてやることが多く、習得・熟練させるのには時間がかかる
のも特徴です。
また、
- 跳躍ブロックがない学校だと三段跳びを教えられる人がいない
など、
- 指導者不足というのも競技人口が少ない一因
なのかもしれません。
【日本と世界の三段跳びの記録】
かつて三段跳びは日本のお色芸と言われていました。
1986年に山下訓史選手が記録した17m15pという日本記録は未だに破られていません。
2017年現在の現役の選手での日本最高記録は、長谷川大悟選手の16m88pとなっています。
日本記録まであと27pとなっており、日本記録更新にあと一歩というところまできています。
世界に焦点を変えてみると、アジア記録は中国の李延煕(リ・ヤンシャン)選手の17m59p。
世界記録は1995年に出されたイギリスのジョナサン・エドワード選手の18m29pとなっており、今現在も破られていない不動の大記録となっています。
しかし、近年米国のクリスチャン・テイラー選手が18m21pとこの大記録に迫る記録を出しています。
日本も徐々にレベルが世界水準に追い付いてきていることと、世界の強豪選手もさらにレベルが上がっており、世界陸上や
2020年の東京オリンピックでは世界記録、日本記録の更新に期待がかかる陸上競技の種目の一つ
ともいえるでしょう。
【自己流でやれるのか?〜教われる人がいれば教わろう〜】
自己流でやれるのかと言われると、非常に難しい問題です。
結論を言えばやれる人もいるでしょうし、やれない人もいると思います。
ただ、やはり三段跳びを専門としている人は、誰かに教えてもらっている人が多いでしょう。
三段跳びは走り幅跳びに比べてやることが多いです。
腕の使い方、ホップ・ステップ・ジャンプの足の動かし方や接地の仕方、体勢等、一つ一つの動作を正確に習得する必要があります。
そのためには、やはり三段跳びを教えることができる人の元で、基礎を学ぶべきだと思います。
基礎ができた上で、それに
- 肉付けする形でネットや様々な選手の動作を自分に取り込んでいく
というのがベストと言えるでしょう。
ただ、コーチや練習施設、パートナーに恵まれない人もいると思います。
そのような方は腹を括って自分で練習を考え、三段跳びを研究し、何度の試行錯誤を経て、動作を習得していく必要があります。
しかし、ゼロから一人で始めるのは本当に骨が折れますし、挫折する可能性が高いです。
自分でできそうにないところがあれば、他校の練習に参加させてもらうなどをして、師事できる人を探した方が無難でしょう。
これは、人から教えてもらった方が時間の短縮になるというのが一番の理由です。
中学、高校3年間で練習できる時間は限られていますので、なるべく早く基礎を習得して、その後はスピードupや筋力強化に繋げていくことが、記録向上への近道です。
【三段跳びの楽しさ〜三段跳びの跳んでいる感覚は一種の快感〜】
三段跳びはホップ・ステップ・ジャンプと3回の連続した跳躍があります。
またホップは踏切足で着地をしなければならず、動作が複雑であることは間違いありません。
しかし、その複雑な動作の中でホップ・ステップ・ジャンプを完全に行えた時、走り幅跳びとは違った体の浮き、つまり跳んでいるという感覚を得ることができます。
記録が伸びれば伸びるほどその感覚は長くなり、この跳んでいるという感覚は一種の快感でもあり、楽しさでもあると思います。
また、全てのスポーツにもあてはまると思いますが、しっかりとした基本動作を身につけていけば、どんどん記録は伸びていきます。
最初は三段跳びで11m程度しか跳べなかった所が、12m、13mと跳べるようになっていくことで、自分自身の成長の現れを記録して実感できることもできます。
13m程度跳べるようになってくると、レベルの差異はありますが、地区大会等で上位入賞が望めますし、結果が出ることで三段跳びがさらに楽しいと感じてくるでしょう。
記録が出てくるともっといい記録を出したいと誰でも感じると思いますし、この思いが三段跳びや練習へのモチベーションへの好循環を生み出してくれます。
【三段跳びに向いている人〜努力できる人は跳べるようになる〜】
三段跳びは高校生のレベルにおいて、地区予選を勝ち抜き、都道府県大会で入賞するのに、輝かしい才能は不要です。
必要なのは
- 練習で努力をし続けられるメンタル
と
- 細かい体の動かし方が得意
ということです。
三段跳びは3回のジャンプを適切な接地をして、着地に持っていく必要があります。
その3つの内一つのジャンプでも狂ってしまうと、記録が出ない繊細な競技でもあります。
そのため、特に
- 腰(股関節)の動かし方が上手い人などは向いている
と言えます。
走り幅跳びはスピードが要求されますが、三段跳びでは、スピードがなかったとしても、そのスピードを技術や筋力(パワー)でカバーし、大会等で入賞している人もいます。
スピードはあることに越したことはないのですが、スピードがなくても技術等でカバーできるのです。
そして、三段跳びの技術はたゆまぬ反復練習によって習得することができます。
何度も繰り返す事にその技術は洗練されていきます。
しかし、難しい動作も多く、基礎を作るのに時間がかかります。
そのため、上手くできなくてもめげずに練習を続けられるメンタルが求められます。
走り幅跳びなどで記録が伸び悩んでいる人で、三段跳びをやってみたら上手くはまったという人もいます。
三段跳びが跳べるようになってくると、走り幅跳びの記録も伸びたりすることもあります。
違った目線で跳躍種目を見つめるという意味でも、三段跳びに目を向けてもいいかもしれません。
【最後に】
三段跳びは走り幅跳びに比べてマイナーかもしれません。
しかし、3回で遠くへ跳ぶ楽しさを知れば、きっと三段跳びの虜になるでしょう。
そこに至るまでは辛い練習を乗り越える必要がありますが、その練習を乗り越え、結果を出せた時はこの種目をやって良かったと思えるはずです。
また、三段跳びをやっていると、怪我等にも悩まされることも多いです。
怪我により大会で力を発揮できないと今までの練習が無に帰すことになりますので、しっかりと体のケアをすることも忘れずに、練習に取り組んでいってください。
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