【どうして1台目のハードルが重要なのか】
スタートラインから1台目のハードルまでの区間が最も大切なプロセス
になります。
「ハードル走の記録は1台目で決まる」という指導を受けた経験がある方も、多いのではないでしょうか。
どうして1台目のハードルが重要なのかというと、それは
- この区間がハードル走で唯一の「加速区間」になる
からです。
110mHの場合、1台目のハードルまでは13.72メートルの距離があり、選手はそこに至るまで8歩も走ることができます。
ところが1台目と2台目のハードル間はわずか9.14メートルしかないため、選手はリズムよく3歩でインターバルを終えなければなりません。
つまり1台目までの8歩でしっかり加速しておかなければ、残りの区間ではそれ以上加速することが難しくなってしまうというわけです。
普通、わずか3歩で加速することはできないので、初心者〜中級者は「1台目までの加速をムダにしないように走る」ということに専念すべきだといえます。
「ハードル走の記録は1台目で決まる」という言葉は、1台目までのどれだけ加速できるかがタイムを縮めるカギ…という話なのですね。
【インターバルで加速することは絶対に不可能か?】
先ほど「普通(インターバルの)わずか3歩で加速することはできない」という説明をしましたが、これはあくまで初心者〜中級者の話であって、世界のトッププロのなかには「インターバルで徐々に加速する」という離れ業をやってのける選手が実在します。
上級者の走りを見てみると、ハードルを飛び越えた後のわずか3歩で強く地面を蹴りだし、失速するどころかスピードを上げていく様子が観察できます。
軽くやっているように見えても、実際にはかなりの上級テクニックですし、やり方が分かっていても高いスプリント能力がなければ真似のできない動きですね。
正直、インターバルで加速できる選手の多くは、生まれつきスプリント能力の高い黒人選手がほとんどで、あまり日本人に向いている走り方だとはいえません。
また、彼らはあくまで「インターバルでも加速できる」というだけであって、決して1台目までのハードルを疎かにしているわけではありません。
インターバルでの加速は、上級者にとっても大きな負担になりますので、本来なら1台目までのハードルで充分な加速を得ておくに越したことはないのです。
ただ、1台目までのハードルで思うように加速がつかなかった場合や、ライバルに遅れを取っている場合などの「リカバリー」として、インターバルでの加速を行っているに過ぎないのです。
要するに、インターバルでの加速はプロにとっても最後の隠し玉のようなものだということですね。
出来るに越したことはありませんが、やろうと思って出来るようなものでもないので、初心者〜中級者は無理に真似しないほうがよいでしょう。
それよりは、やはり1台目のハードルまでの加速を完璧にこなし、フォームが崩れないように跳ぶことを意識したほうがよほど有効だといえます。
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