【やり投げの記録を左右する投射角とは?】
- 初速度
- 投射高
- 投射角
の3要素で決まるとされています。
- 初速度は投擲した瞬間の速さ
- 投射高は投擲した瞬間の高さ
- 投射角は投擲した角度
のことですね。
今回はそのうち、「投射角」についての考察を行ってみたいと思います。
やり投げの記録が投射角のみで決まるわけではありませんが、投射角が記録に大きな影響を与えることは間違いありません。
やりを投げる際、ざっくりと「ナナメ上」に投げている選手は多いと思います。
正確な角度をイメージしているわけではなく、地面と並行または垂直に投げるより、ナナメ上に投げたほうが遠くへ飛ぶ…と経験則から理解しているわけですね。
しかし、的確に「地面に対して○○度で投げる!」と意識している選手はそう多くないのではないでしょうか。
人間の動きですから毎回全く同じ角度に投擲するのは困難ですが、適切な角度をイメージするのとしないのとでは、成功率にも差が出て然るべきです。
近頃記録が伸び悩んでいるという方は、脳内で正しく投射角を意識できているか、またはイメージしている投射角が適切かどうかを考えてみてはいかがでしょうか。
【やり投げの適切な投射角は?】
物理学的には、やりを最も遠くまで飛ばすのに適した投射角は「45度」だと言われています。
やり投げ選手のなかには、「45度を意識して投げるように」と指導された経験のある方も少なくないでしょう。
ただし、スポーツ科学の研究者のなかには45度という投射角に異論を唱える方もいます。
というのも、あくまで45度というのは物理的な理想角度であって、実際に45度で投げようとするといくつかのデメリットが生じるからです。
最も問題になるのは「初速度が出にくい」ということですね。
人間の体は何かを投げるとき、真上よりも真横に投げることに適した構造をしているため、角度が90度に近づくにつれて初速度が遅くなってしまうのです。
従って、
- キッチリ45度に投げようとすると初速度の不足によって記録が伸び悩んでしまう
わけです。
また、角度が90度に近づくにつれて、空気抵抗や風の影響を受けやすくなるという点も懸念されます。
やりのように細長い形状の物体は、真横に飛ばすほど空気や風の抵抗を受けにくく、縦になるほどその影響をモロに受けてしまうのです。
つまり空気抵抗だけを考えれば、45度で投げるよりも30度くらいで投げるほうが、悪影響を少なくできるというわけですね。
これらの条件を踏まえて考えると、
- やり投げで好記録を出すために適切な投射角は「37度」だと推測
できます。
実際、トップ選手の投擲を解析してみると、
- 85メートルを超える投擲では36度から37度の投射角で投げられていることが多い
ことが明らかになっています。
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