【プライオメトリックトレーニングについて】
プライオメトリックトレーニングとは1960年代に提唱され、今でも跳躍系競技で根強い支持を誇るトレーニング理論です。
別名「プライオメトリックス」と呼ばれることもあります。
ちょっと難しい言葉に聞こえますが、プライオメトリックトレーニングとは要するに
- 「筋肉の伸張反射」を利用したトレーニング
です。
人間の筋肉は「普通に収縮させるよりも、伸張させてから一気に収縮させるほうが大きな力を発揮する」
という生体反応を有しています。
この反応を利用して、ジャンプするときの瞬間的なパワーを増大させることを目的にしたのが、プライオメトリックトレーニングです。
難しい理論をすっ飛ばして言うなら、「筋肉の瞬発力を上げるトレーニング」といったところですね。
少々専門的な言葉ですが、実は跳躍系の競技では、よくこの理論を応用したトレーニングが行われているんです。
馴染み深いところでは「ジャンピングスクワット」などもプライオメトリックトレーニングの一種です。
普通にスクワットするよりも、ジャンピングスクワットのほうが瞬間的に脚の筋肉が収縮しますよね?
この動作を繰り返して下半身の速筋を鍛えることで、通常のスクワットだけでは得られない安定したジャンプ力を得ることができるわけです。
【プライオメトリックトレーニングのメリット】
走り高跳び選手にとって、プライオメトリックトレーニングは非常に効果的な役割を果たします。
プライオメトリックトレーニングのメニューは、室内でもこなせるものが多いので、雨の日や競技場を使えない日でも練習ができるからです。
ただ漫然と筋トレをするよりも、より
「ジャンプ力強化」に焦点を当てた特訓ができるのがプライオメトリックトレーニングのメリット
だといえます。
また、プライオメトリックトレーニングは安定した足腰づくりにも役立ちます。
競技場での走り高跳び練習には回数に限りがあるため、筋力増強はそれほど早いペースで進みません。
しかしプライオメトリックトレーニングを活用することで、通常の練習だけでは得られにくい足腰の強さを獲得することが可能なのです。
【プライオメトリックトレーニングの種類】
ボックスジャンプ
ヒザくらいの高さの台座にジャンプして飛び乗るトレーニングです。
両足をそろえて飛び乗ったら後ろ向きに飛び降り、もう一度飛び乗り、という形で決められたセット数をこなします。
ボックスジャンプ動画
ボックスジャンプは、陸上選手におすすめの効果的なトレーニングです。
詳しいやり方はこちらを参考にしてみてください。
ジャンピングスクワット
様々な競技でお馴染みのジャンピングスクワットですが、プライオメトリックトレーニングを意識するなら「接地時間を短く」するのがコツです。
股関節や膝関節はあまり曲げず、足が地面にくっついている時間ができるだけ短くなるように、トントントンと繰り返し跳びましょう。
このような跳び方をすることで、プライオメトリックトレーニング独特の「強い伸張反射」が発生します。
ジャンピングスクワット動画
ジャンピングスクワットの詳しいやり方はこちらを参考にしてみてください。
陸上選手やアスリートに効果的なジャンピングスクワットのやり方とは?
ニーアップジャンプ
ニーアップジャンプは、ジャンピングスクワットとよく似たトレーニング方法です。
違いはジャンプした瞬間にヒザを思いっきり上に持ち上げること。
跳んでいる間はヒザがお腹の位置に来るくらいまで曲げておきます。
ただし着地する瞬間には一気に足を伸ばし、ジャンピングスクワットと同じように接地時間を極力短くするようにしましょう。
ニーアップジャンプ動画
走り高跳びで記録を伸ばす方法
走り高跳びで記録を伸ばしていくためには、
- 基本的な知識
- コツ
- 練習方法
それらを知っていることで、指導された内容を深く理解でき、記録を伸ばすことにつながるでしょう。
そのような基本的な知識やコツ、練習方法を無料メールマガジンで配信しております。
ぜひご登録ください。
走り高跳びでの記録を伸ばしていくには
- 一流の選手がどのような練習やトレーニングをしているのか?
- 一流の指導者がどこをポイントとして指導しているのか?
それらを知ることができる、おすすめのDVDがこちらです。
ぜひご覧ください。
関連ページ
- 加速を跳躍に変える走り高跳びとは
- 高いハードルを跳び越えるためには助走による加速が必要不可欠です。 しかし助走はあくまでも跳躍の補助として行うものであって、必ずしも速く走れば高く跳べるというわけではありません。助走で全力疾走してしまうのは初心者のやることで、上手い人はむしろ良い具合に力を抜いて助走をつけています。加速ばかりに気をとられている選手はいくら練習を積んでも成長しません。走り高跳びの選手なら誰でも気を使っているであろう「踏切」を磨くというのが正解です。ぜひご覧ください。
- 走り高跳びに必要な筋肉とその鍛え方は?
- 高く跳ぶためには「体重の軽さ」という要素も重要なので、全身の筋肉をくまなく鍛えてしまうと筋肉の重さが足枷になってしまいます。ボディービルダーのように全身を筋肉の鎧で覆った人が走り高跳びに挑戦したらと想像してみれば…高く跳べるかどうかは言うまでもありませんよね。つまり走り高跳びの選手にとっては、適切な筋肉だけを鍛え、無駄な筋肉はむしろ削ぎ落すことが理想だといえます。今回は、走り高跳びの選手が重点的に鍛えておくべき筋肉の種類と、その鍛え方について詳しく解説していきましょう。
- 走り高跳びの3つの跳躍法のメリットデメリットと適正とは?
- 走り高跳びには3種類の跳び方があります。それぞれ「背面跳び」「はさみ跳び」「ベリーロール」と呼ばれるものです。現在はルール上、3つのうちどの跳び方をしても問題ないとされています。しばらく練習を積んでいけば自分に最も適した方法が見つかるはずですが、走り高跳びを始めて間もない初心者は「一体どの跳び方が一番効率的なの?」と不思議に思ってしまうことでしょう。そこで今回は、走り高跳びにおける3つの跳躍法の特徴とメリット・デメリットについてご紹介したいと思います。
- ふくらはぎとアキレス腱を強化して走り高跳びの跳躍力アップ!
- 跳躍種目には昔から「バネ」という概念があります。走高跳の場合、バネ=アキレス腱・ふくらはぎの強さ、ということができます。陸上競技選手を対象とした、脚力や背筋力を測る実験では、走高跳の選手が他の種目の選手に比べ、体重に対してカカトを挙げる力、つまり下腿の力がずば抜けて強いという結果も出ています。このことからも、下腿の強さが跳躍力に大きな影響を及ぼしていることが分かります。そこで、今回は下腿を強化するトレーニングについて説明していきたいと思います。
- 走り高跳び指導者向けの基礎知識エバーマットの性能の違いを知っておこう
- 走り高跳びを行う上で、必要不可欠な道具のひとつが「エバーマット」です。バーを飛び越えた選手の落下の衝撃を吸収してくれるマットのことで、単に「マット」と呼称されることもあります。今回は、エバーマットに関する基礎的な知識をご紹介したいと思います。もしも所属団体でエバーマットを購入すべき機会が訪れたとき、他所のエバーマットを借りることになったときなど、慌てることのないように正しい知識をもっておきましょう。
- 走高跳での記録を伸ばす為の助走、踏切、クリアランスのポイントとは?
- 走高跳で記録を伸ばす為に重要な事とは、 いかに重心の位置を高く持ち上げる事が出来るか! いかに最高到達点でのバーに当たりにくい姿勢をとれるか!の2点である。 理屈で考えれば当たり前の事ですが、この重要な2点を熟す為には様々な関連運動が必要となっているのです。 走高跳では飛び方も種類があり、はさみ跳び・背面跳び・ベリーロールとあります。どの飛び方も重要点は先に述べた2点に限ります。その2つを可能にする助走、踏切クリアランスについて紹介いたします。
- 走り高跳びで足がバーに引っかかる原因は?
- 「足がバーに引っかかってしまう」という悩みを持つ走り高跳び選手は多いと思います。特に背面跳びでは、上半身はしっかりバーを越えたのに、足が当たってバーを落としてしまうという現象がよく起こりますね。上半身がバーを越えているなら、原因は跳躍力そのものではなく「クリアランスのタイミング」にあると思われます。クリアランスは日本語で「空中姿勢」とも言い、ジャンプしてから頭・肩・お尻・足の順番にバーを越えていくまでの一連の動作を表します。要するに、足がバーに引っかかってしまう方は空中での姿勢が悪いのです。上半身がバーを越えた瞬間に油断して、足の位置を調整することを忘れてしまっているわけですね。
- 走り高跳び用スパイク4選!理解しておきたいメリットとデメリットとは?
- おすすめの走り高跳び用スパイクを紹介いたします。ナイキ・ミズノ・アディダス・アシックスなどから、人気の高いスパイクを解説していきます。走り高跳び用のスパイクを選ぶときの参考にしてみてください。