適切な筋肉を鍛えてより高く跳ぼう
- 「力ではなく技術を活かす」
- 「柔よく剛を制す」
などのモットーを掲げるスポーツはあっても、それはあくまで
- 「最低限の筋肉があるなら」
という前提あっての話です。
走り高跳びももちろん例外ではなく、他の選手よりも素晴らしい記録を残したければ、他の選手よりも優れた筋力が必要になるものなのです。
しかし、だからといって、むやみやたらに筋トレばかりを行えば良いというわけではありません。
高く跳ぶためには「体重の軽さ」という要素も重要なので、全身の筋肉をくまなく鍛えてしまうと、筋肉の重さが足枷になってしまいます。
ボディービルダーのように、全身を筋肉の鎧で覆った人が、走り高跳びに挑戦したらと想像してみれば、高く跳べるかどうかは言うまでもありませんよね。
つまり走り高跳びの選手にとっては、適切な筋肉だけを鍛え、無駄な筋肉はむしろ削ぎ落すことが理想だといえます。
今回は、走り高跳びの選手が重点的に鍛えておくべき筋肉の種類と、その鍛え方について詳しく解説していきましょう。
「抗重力筋」とは何かを知ろう
走り高跳びに必要な筋肉は
- 「抗重力筋(こうじゅうりょくきん)」
に集約されています。
抗重力筋とは、体にかかる重力に対抗して、直立姿勢を維持するために必要な筋肉の総称です。
ひとつの筋肉を表す言葉ではなく、「抗重力筋」という言葉は
- 重力に対抗するための筋肉群
を指しています。
腹側に位置する
- 前脛骨筋
- 大腿四頭筋
- 腹筋群
- 頚部屈筋群
そして背側に位置する
- 下腿三頭筋
- ハムストリングス
- 大殿筋
- 脊柱起立筋群
が抗重力筋を構成する筋肉の正体です。
過去に筋トレをして、筋肉の種類を調べた経験のある方なら、抗重力筋下半身に限らず、全身にまんべんなく存在していることがお分かりでしょう。
走り高跳びには、下半身の筋肉が重要だと考えている方も多いかと思いますが、腹筋や背筋まわりの筋肉も、実は非常に優秀な働きをしているのです。
ジャンプをするのですから、脚の筋肉が必要なのは当然として、抗重力筋の役割はそれだけではありません。
跳んでから着地する瞬間までの一瞬で、重心の移動を行ったり、着地した瞬間の衝撃吸収にも役立つのが、抗重力筋の重要な役割です。
ただジャンプをするだけならば、大腿四頭筋やハムストリングスを鍛えるだけでも、それなりの効果が出るでしょう。
しかし走り高跳びのように
- 「綺麗なフォームで跳び」
- 「怪我のないよう着地する」
必要のあるスポーツでは、抗重力筋をバランスよく鍛えることが重要になるのです。
抗重力筋は自重トレーニングで鍛えることができる!
トレーニングというと、専門の器具が必要になると思われがちですが、抗重力筋のトレーニングは特に器具を必要としません。
いわゆる「自重トレーニング」を行うだけでも、しっかりとトレーニング効果が得られるからです。
一応ご説明しておくと、自重トレーニングとは「自分の体重を負荷にして行うトレーニング法」のことです。
方法さえ覚えてしまえばどこでもできる上、専門の器具も必要としないので、手軽に行えるトレーニング法として昔から親しまれています。
有名どころで言うなら、スポーツ選手なら誰でも一度は経験したことがある「スクワット」なども自重トレーニングの一種です。
自重トレーニングにも様々な種類がありますが、今回は抗重力筋を鍛えるために特化したものを、いくつかご紹介しておきます。
どれかひとつを選んで行うのではなく、サーキットトレーニング方式で、全身くまなく鍛えるように心掛けてください。
大腿四頭筋(だいたいしとうきん)
大腿四頭筋とは、太ももの全面にある4つの筋肉の総称です。
下半身の筋肉のなかでも、最も大きなパワーを発揮する筋肉なので、ジャンプ力の向上や下半身の安定に役立ちます。
大腿四頭筋を鍛えるには
- 「スクワット」
がオススメです。
直立の状態から肩幅に足を広げ、背筋をしっかり伸ばしたままゆっくりと足を曲げます。
太ももと地面が平行になったら数秒間姿勢をキープし、ゆっくりと元の姿勢に戻ります。
この動作を20回1セット、30秒ほどのインターバルを置いて3セットほど行ってください。
スクワットは、かなり効果的なトレーニング方法ですが、関節への負担が大きいので無理はしないようにしてください。
関節に痛みを感じる場合はひとまず中止し、自分に合った回数づつ行って慣れていくのがポイントです。
スクワットの動画
下腿三頭筋(かたいさんとうきん)
下腿三頭筋とは、いわゆる「ふくらはぎ」に位置する筋肉の総称です。
実は「第二の心臓」と呼ばれるほど重要な筋肉で、下半身の血液を上半身に送る役割を担っています。
下腿三頭筋を鍛えるなら
- 「カーフレイズ」
がオススメです。
足は肩幅に広げ、背筋をしっかり伸ばしたまま、つま先で立つようにしてかかとを上げていきます。
限界まで上げたところで1秒間キープして、その後ゆっくりとかかとを下ろしていきましょう。
この動作を50回1セット、30秒ほどのインターバルを置いて3セットほど行ってください。
カーフレイズの動画
大殿筋(だいでんきん)
大殿筋は、おしりの部分に位置する筋肉です。
股関節を動かす役割を担っているため、安定した助走を行うためには、大殿筋の働きが欠かせません。
大殿筋を鍛えるためには
- 「バックキック」
がオススメです。
四つん這いになって片足を上げ、後方に向かって蹴り上げる動作を行います。
膝が床につく寸前まで下ろしたらもう一度上げて後方を蹴り上げる、という動作を片足づつ、終わったら反対側の足でも同様の動きを繰り返します。
この動作を10回1セット、30秒ほどのインターバルを置いて3セットほど行ってください。
バックキックの動画
脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)
脊柱起立筋は、背骨に沿ってついている筋肉です。
上半身を起こした状態をキープし、背面跳びの際に上半身をのけぞらせる動きをするのに役立ちます。
脊柱起立筋を鍛えるためには
- 「バックエクステンション」
がオススメです。
うつ伏せになった状態で寝転がり、手を頭の後ろに添えておきます。
その状態のままで胸と足を同時に浮かせて体をそらし、最も高い地点で3秒キープしたらゆっくりと元に戻してください。
この動作を20回1セット、30秒のインターバルを置いて3セットほど行ってください。
バックエクステンションの動画
ウエイトトレーニングで走り高跳びに必要な筋肉を効率良く鍛える
トレーニングは自重だけでなく、バーベルやダンベルなどのウエイトを使うことで、効率良く鍛えることもできます。
またウエイトを使うことで、自重ではかるすぎる負荷を重くすることで、筋力を強くすることも可能です。
特に瞬発力をつけるには
- クリーン
- スナッチ
などのクイックリフトが効率よく鍛えることができます。
また、踏切手前の重心を下げて沈み込んだ体を、踏み切りで上げていくには、脚の強い筋力とバランス力が必要になります。
こちらは
- ブルガリアンスクワット
- ウォーキングランジ
がおすすめです。
幅跳びの記事ですが、高跳びにも共通していることですので、ぜひご覧ください。
このような陸上競技で必要なトレーニングの詳しいやり方はこちらを参考にしてみてください。
走り高跳びの一流選手から学ぶ
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