ふくらはぎ・アキレス腱と跳躍力の関係
では、具体的に「バネ」とは何なのでしょうか?
走高跳の場合、
- バネ=アキレス腱・ふくらはぎの強さ
ということができます。
壁に向かってボールを投げるのを想像していただけると分かりやすいですが、やわらかいボールより硬いボールの方がより跳ね返ってくる力が強いです。
それは硬ければ硬いほど、「反発力」が強くなるからです。
人間のアキレス腱・ふくらはぎ(以下の文からは下腿とします)でも同じことが言え、硬いほど反発する力。つまり、ジャンプ力が増します。
実際に、身長181pと高跳び選手としては小柄ながら、2m40pの記録を持つステファン・ホルム選手のアキレス腱は、成人男性の4倍の硬さを持っていました。
また、陸上競技選手を対象とした、脚力や背筋力を測る実験では、走高跳の選手が他の種目の選手に比べ、体重に対してカカトを挙げる力、つまり下腿の力がずば抜けて強いという結果も出ています。
このことからも、
- 下腿の強さが跳躍力に大きな影響を及ぼしている
ことが分かります。
そこで、今回は下腿を強化するトレーニングについて説明していきたいと思います。
下腿のトレーニング方法
下腿を強化する方法には大きく分けて3つあります。
1つ目は、硬さをより硬くする方法です。
2つ目は、筋力を上昇させる方法です。
3つ目は、下腿の収縮速度を上げる方法です。
硬さを上げるトレーニング
硬さを上げる具体的なトレーニングとしては、
- カーフレイズ
- ジャンプスクワット
がオススメです。
カーフレイズのトレーニング
カーフレイズとは、簡単に言うとカカト上げのことです。
トレーニングの方法としては、20〜30pほどのボックスや段差に足の裏を半分ほどかけて、カカトを上げ下げするのが良いです。
中学生や競技歴が浅い選手の場合は、自重もしくは軽いウエイトを使って行い、高校生以上の選手の場合は、バーベルを担いで行うのが良いでしょう。
練習の回数は以下を目安とすることがオススメです。
- 自重の場合:20〜30回×3〜5セット
- ウエイトを用いる場合:10〜20回×3〜5セット
カーフレイズトレーニングの動画
ジャンピングスクワット
続いて、ジャンプスクワットですが、これは名前の通り、ジャンプをしながらスクワットをするトレーニングです。
通常ジャンプスクワットは、腿やお尻の筋肉を鍛えることが目的ですが、今回は下腿を鍛えるのが目的ですので、下腿に効かせることを意識して行いましょう。
また、通常のジャンプスクワットでは、膝の角度が70〜90度くらいになるようにしゃがみ込みますが、今回は、着地時に下腿に刺激が入りやすくするため40〜60度くらいの浅い角度でしゃがみ込むことを意識しましょう。
練習の回数は以下を目安とすることがオススメです。
- 自重の場合:10〜20回×3〜5セット
- ウエイトを用いる場合:10〜20回×3〜5セット
ジャンピングスクワットの動画
下腿の筋力を上げる
次に、下腿の筋力を上げる方法としては、さきほどの、
- カーフレイズとジャンプスクワットをより重い重量で行う
ことが効果的です。
カーフレイズ・ジャンプスクワットともに以下の回数がオススメです。
- 6〜10回×3〜5セット
- 1〜3回×3セット
- 6〜10回の場合では、筋肉を大きくする効果があります。
- 1〜3回の場合は最大筋力つまり、筋肉の出せるパワーを上げる効果があります。
走高跳の選手の場合、体重増加が競技に与える影響が大きいので、6〜10回のトレーニングと1〜3回のトレーニングは1:2くらいの割合で取り入れるのが良いでしょう。
ジャンピングスクワットのやり方はこちらを参考にしてみてください。
下腿の収縮速度を上げる
最後に、下腿の収縮速度を上げる方法としては、
- プライオメトリクストレーニング
が有効です。
収縮速度とは簡単に言うと、筋肉や腱が縮む速度のことです。
この速度を上昇させることで、短い時間に大きな力が発揮できるようになり、踏切でより高く跳ぶことが可能になります。
プライオメトリクスには多くの練習法がありますが、ここでは基本的な方法であるハードルジャンプを紹介します。
まずハードルを4〜5歩くらいの間隔で5台ほど並べます。
次に少し勢いをつけ、両足でハードルを跳び越えていきます。
それを5台分続けて行いましょう。
この時に意識すること・コツは、以下の3つです。
- 接地時間を短くすること
- 腕で反動をつけ跳び越えること
- 跳び越えている最中は体の力を抜き、接地時だけ力を入れること
注意点としては、跳び越える際は空き缶を真上から踏むイメージで跳び、決して地面を蹴らないようにしてください。
使用するハードルの台数やハードル間は目安ですので、慣れてきたら徐々に増やしていくようにしましょう。
以上が、下腿を強化する3つの方法になります。
ふくらはぎとアキレス腱を強化して、跳躍力アップを目指しましょう。
ハードルジャンプの動画
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